思いつくままに

思いつくままに書きつらねていたり、自作のss(小説)を上げていたりします。

*彼の好み

 彼には食べ物の好き嫌いがない。ゲテモノは置いといて一般的なものはなんでも食べるし、何が出ても嫌な顔をしたりすることはない。

 しかしそんな彼にも好みはあるのだ。

 ケーキとかスイーツは買ったりカフェで頼んだりすれば私と一緒に食べるが、そういった甘い物を彼が自ら選ぶことはない。

 コーヒーはブラック。ミルクも砂糖も入れないし、注文する時はどちらも拒否する。

「はい、これ。バレンタインデーの。今年はチョコじゃなくてクッキーにしてみたの」

 彼に手渡したラッピングした包みの中身はチョコクッキー。お砂糖少なめ、ビターながらチョコレートの風味が味わえる一品だった。

「ありがとう」

 彼はお礼を言いつつもどこか安堵したような顔をした。

「今年もチョコレート、たくさんもらったの?」

「うん。まあね。以前よりかはだいぶ減ったんだけど」

「何個ぐらいもらったの?」

「十個くらいかな」

 確かに減っている。ただ、それでも十分多いのだが。

 彼はカッコいい。好きだからだとかそう言った贔屓目なしにしてもとても整った顔立ちをしている。

 だからバレンタインデーにもたくさん、それも見知らぬ人からもチョコレートをもらうのだ。今は私という正式な恋人ができ数年も経ち、その量も落ち着いてきたみたいなのだが、それでも二桁を切ることはなかった。

「今年も全部食べるの?」

 甘い物はそんなに好きじゃないはずなのに。

「君も食べるかい? 分けるよ」

 彼はもらい物に関しては他人に分け与えることもあるが、どんなに数が多くても絶対に自分で食べる。食物を粗末にしたりはしないのだ。

 他人とのコミュニケーションに対してもそのくらいのマメさがあれば良いのに。

 基本的に彼は他人に対して無愛想でそっけない。冷たいなと思うこともある。 

 過去にあった様々な出来事が今の彼を作っていて、あと単純に不器用なだけなところもあるので、口出しはしないのだが。

「うん。お皿に乗せた方が分けやすいし食べやすいと思うから、持ってくるわ」

 ブラウニーとかガトーショコラとかもあったりすることがあるので、フォークも一緒に私は台所から取ってきた。

 そしてその夜は二人でチョコレートパーティーをしたのだった。

 

 

 

 

 

END.

 

 

 

 

                     

モチベーションの上げ方

今週のお題「わたしのモチベーションを上げるもの」

 

私のモチベーションを上げるもの。

はてなブログ今週のお題を見て真っ先に私が思ったこと。

どうやったらモチベーションを上げれるの。いや、むしろ保てるの?

知りたい! でした。

モチベーションの上げ方は誰もが一度は悩むことだと個人的に思います。

各々のモチベーションの上げ方だとか保ち方とかがあると思うのですが、こういうのって勉強と同じく人それぞれ、それぞれの方法に対して向き不向きがある気がします。

なので自分はどういった方法ならばいけるのか?

それを念頭においてまずは色々試してみる。

そして自分だったらこうすればやりやすいっていうのを見つけて自己流に落としていく。

それが大事なのでしょう。

私の場合、今のところとにかく最初は気が向いたらやる。あと少しでもやる。

やれなかった日があっても、やれる日にやろう程度にゆるい感じにマイペースに行っていくのが肝要かななんて思っています。

まあ、ブログや小説を書くこととか、他事も含めて現在モチベーションがだだ下がりしている状態なので、これを機に他の方々のモチベーションの上げ方を参考にできればななんて考えています。

 

 

僕を待つ灯火

 十三歳の時、両親を交通事故で亡くして以来、僕はずっと祖母と暮らしていた。しかしそんな祖母も僕が十七歳の時、亡くなった。祖父は遙か前にすでに他界しており、僕はその時以降、ずっと一人だった。

 だから帰る時、家に明かりが灯っているなんてことはもう何年もなかった。

 暗い誰もいない家に帰り、明かりを点ける。迎えてくれる人も誰もいない。それが当たり前になっていた。

 だから、家の窓の、カーテンの隙間から明かりが零れているのを見ると今でもなんだか不思議な気分になる。

「ただいま」

 ドアを開け自宅に入る。すると

「おかえりなさい」

 そんな応答と共にパジャマ姿の彼女が玄関へと姿を現した。

「お疲れ様。お仕事、忙しかったのね」

「うん、まあね」

 それは事実だったが、僕はなんとなく言葉を濁す。

「ご飯食べる? それとも先にお風呂に入る? お湯は取っておいてあるけれど……」

「……」

 そう問いかけてくる彼女には答えず、そのままその華奢で柔らかい身体を抱きしめる。

「……」

 突然の行為にも関わらず彼女は抱きしめ返してくれた。

「……君が欲しい」

「ご飯食べて、お風呂に入ってもまだそういう元気があるのなら考えるわ」

 ぐいっと腕で押しやり僕の身体を離すと彼女はそう言った。そしてそのままリビングの方へと戻っていってしまった。

 拗ねたとかいきなり身体を求められて引いてしまったとかではなく、突然そんなことを言い出す僕を見て相当疲れているのだろうと彼女なりに気を遣って、ご飯の準備をしに行ったに違いない。 部屋着に着替えてリビングへ行くと、そこには僕の分の夕食が並んでいた。煮込みハンバーグ、にんじんのグラッセ、コーンスープ、白米。

 自分で準備せずとも出てくるご飯。向かいには麦茶が入ったコップだけテーブルの上に置いた彼女。

「君も仕事があったのに手が込んでるね」

「タネは昨日のうちに作っておいたの。でもちょっと夜遅くに食べるのには重すぎたかしら」

「別に……。もっと脂っこいものを食べることもあるし」

「そう……。ならよかったわ。でも夜遅くまでお疲れ様。デザートも食べる? おいしい物を食べるときっと元気になれるわ」

「何があるんだい?」

「期間限定の絹ごし白桃プリン。スーパーで見つけたから買ってきたの」

「君は限定物に目がないね」

「むぅ。でもさっぱりしていておいしかったわよ。食べる?」

「食べる」

「じゃああとで用意するわ」

 彼女はそう言って優しく微笑んだ。

 こんな風に出迎えられて気遣ってもらえて、それに安らぎを感じるなんて、相手がいるからこそだななんて考え、もう独りじゃないんだなと僕はそんなことを思った。

 

 

 

 

 

 

END.

 

 

 

 

お題配布元: 恋したくなるお題

 

 

*お会計

 近所のコンビニへ彼と夜食を買いに出掛けた。

 今は八月。夏真っ只中で夜になっても暑さは収まらず、二人してアイスをカゴに突っ込んだ。そして他にも夏季限定のお菓子が置いてあったためそれらもカゴへ入れた後、レジにて会計を済ますため、私はバッグから財布を出す。

 今日は私がお金を払う番だった。

「――八百六十四円になります」

 店員に合計金額を告げられ、財布の中の小銭を探す。五百円玉一枚に百円玉三枚、さらに五十円玉もあり、私は店員の前にそれらの小銭を出す。しかし十円玉と一円玉は見当たらない。

 仕方がない。小銭を戻し千円札を出そうとしたその時だ。

 十円玉一枚と一円玉四枚が私の後ろからスッと出された。

「八百六十四円、ちょうどお預かり致します」

「ありがとう」

 私は自身の財布から小銭を出してくれた彼に礼を告げる。

「いいよ。ちょうど小銭が邪魔だったし」

 彼は店員がまとめた、買った物が入った袋を持ちそう言った。

「あ、ありがとう」

 袋まで持たせてしまった。そのことに気づいた私は重ねて礼を告げると先に歩き出した彼の隣りへと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

END.

*彼の苦手なもの

 目の前にいるヤギと対峙して彼は固まっていた。

「おなか、空いているみたいね。買ったエサ、あげるとどんどん食べてくれるわ。可愛い」

 私は一センチくらいしかない筒型の固形のエサを複数手の平に乗せ、ヤギの口元に近づけていた。ヤギはガツガツとあっという間にそれらを平らげる。

 周囲には何頭もヤギがいた。ここは子ども動物園。動物園内にある一角で、その区画内で放牧されているヤギにエサを与えたり、モルモットと触れ合うことができる場所だ。

 動物園自体、子ども向けの施設だと思う。しかし、私の地元にはなく、なかなか行く機会がなかったのだ。けれども今住んでいる市内にあって、私は様々な動物が見れるこの場所に行ってみたくて仕方なかった。そして彼と来たのだった。

 今いる所はさらに子ども向けの場所であるわけだが、ヤギにエサを与えたりモルモットと触れ合いたくて、やって来たのだった。

「あなたもほら、エサを与えてあげたら?」

「……やっぱり僕はいいよ。君があげるといい」

 彼はそう言うと私の手にエサを握らせる。

「そう。じゃあ私があげるね」

 私は彼の分のエサも寄ってきたヤギに与えた。ヤギはそれをあっという間に平らげさらに私へと寄ってくる。

「ごめんね。もう全部あげてしまったの」

 私はヤギの身体を撫でる。

「ねえ、あなたも撫でてみない? 可愛いわよ」

 彼にそう言ってみる。

「まあ、そうだね」

 彼はおずおずとでもいった調子でヤギの方へ近づき、少しだけその身体に触れた。しかしヤギが身じろぎするとすぐにその手を離す。

「もしかして、怖い?」

「……噛まれたらって思うとちょっとね」

「気をつければ大丈夫よ」

「まあ、そうなんだろうけど、がっつかれたらどうしようもないからさ。小学生の時、修学旅行で奈良公園の鹿に迫られて鹿せんべいと一緒に噛まれて以来、どうにも気が進まないんだ」

 珍しく怖々といった調子でヤギの様子を窺ったままそう話す彼。

 怖いとか苦手だとか口にしないけれど、きっとトラウマになっているのだろう。いつものように淡々としていながらもどこかその表情はこわばっていた。

「あなたにも苦手なものはあるのね」

「……」

「別に悪いことだとは思っていないわよ。ただ、なんだか安心したわ」

 黙りこくる彼に私は笑いかける。

「安心?」

「私から見てあなたはちょっと完璧過ぎたから、人並みに苦手なものがよかったなって」

「苦手なものはあるよりはない方が良いと思うけど」

「それはそうだけど。でも、誰しも苦手なものはあるものでしょう。人間だもの。だからあなたの苦手なものも知れてよかったなって。それに私ばかり苦手なものがあるのもあれだし……」

「虫を見たら叫び声を上げるところも方向音痴なところも理数系があんまりなところも朝が弱いところも君の個性だし、別にそれに対してどうこう言ったりはしないよ」

「うっ、そんな面と向かって挙げてくれなくてもいいのに……。それはわかってるけど、私なりに思うところがあるのよ」

 彼は自身に対しては厳しく、完璧主義者の癖に、他人にはとても寛容なのだ。無愛想で言葉尻がキツい時もあって冷たくみられがちだけれど、目に見えた愛想の良さだとかそういった振る舞いもできないタイプだけれども、とても優しい人なのだ。

 けれどもなんでも人並み以上にこなせる彼がちょっと完璧過ぎて。それに対して劣等感を覚えないわけでもなくて。だから彼にも人並みに苦手なものがあってホッとしたのだ。

「それはともかくとして、次はモルモットを触りに行きましょう!」

 私は気持ちを切り替えると、モルモットのいる建物の方へ彼の腕を引っ張った。

 

 

 

 

 

END.

君の髪

 彼女の髪は腰まで届くぐらい長く、ふんわりとゆるくウェーブがかかっていた。お風呂上がり等で髪が濡れている時だけはストレートになるが、それ以外は常時その髪は柔らかく波打っていた。

「これは天然パーマなの。だからみんなのようなストレートな髪は憧れ。たまに縮毛矯正しようかなって考えることもあるわ」

「今のままの方が絶対に良い。可愛いと思う」

「……即答されるとは思っていなかったわ」

 彼女は驚いたように僕のことをまじまじと見た。

「別に君の好きにすれば良いけど」

 僕はなんだかいたたまれなくなってしまい、視線を逸らす。天然パーマでロングなその髪型は彼女にとてもよく似合っていて、わざわざストレートにする必要なんてない気が個人的にはしていた。彼女自身もふんわりした雰囲気を持っているのだ。今のままがベストだと言えよう。 

「もう。すぐツンツンする。あなたが可愛いって言ってくれるから、縮毛矯正はしません。安心して」

 彼女はそう言って笑った。

 

 

 

 

 

 

 

END. 

 

 

 

                   

  

おでこコツン

 その日は朝から怠かった。

 寝不足で思考がはっきりせず頭が重い感じが午後になってもしていて、彼女の話もまともに聞けず反応も鈍くなってしまっていた。それ程ぼーっとしてしまっていた。

 午後、彼女は友人達と買い物やお茶をしに出掛け、このままではいけないと思った僕は休日なのをいいことに、その間ずっと一人ベッドで眠っていた。

 夕方、外に干していた洗濯物を取り込み、けれどもどうしても畳む気にはなれずソファにテレビも付けずぼけっと座っているところに彼女は帰ってきた。

 そのことに僕は気づいておらず

「ただいま!」

そうワッと驚かすかのように肩を押され、初めて彼女が帰ってきたことを知った。

「普段のあなたなら驚かす前に気づくのに……。何か考え事?」

「別に……。少し怠くてぼけっとしていただけだよ」

「大丈夫?」

 彼女がソファの前へと回り、僕の顔を覗き込む。

「顔、普段より少し赤いわ」

 彼女はそう言うと腰を屈め、僕と視線を合わす。彼女のぱっちりとした大きな目と合ったと思った瞬間

「!」

コツンと彼女は僕のおでこと自身のおでこを当てた。キスできそうなくらいの至近距離に彼女の顔がある。

 普段ちょっとしたスキンシップを取ろうとするだけでいまだに動揺し照れる癖に、彼女は時々とても大胆だ。おそらくそれは純粋に僕の身を案じてのことで、そういう意識がないからなのだろうが。

「熱い。やだ、熱があるじゃない。今すぐ横にならないといけないわ」

 おでこを離すとすぐさま彼女はそう言った。

「……おでこを当てて熱を計られるのは初めてだな。君はいつも具合の悪い人がいたらそうやっているのかい?」

「お母さんはいつもこうやってくれていてくれたから、家族に対しては私もそうしているわ。友達とかだとびっくりさせてしまうから手で触れるようにしているけれど」

 駄目だったかしら? と言いたげに彼女は首を傾げた。

 誰彼構わずやっていたわけではなかったようで、僕はほっとする。

 しかし顔が熱い。どきどきして余計に熱が上がりそうで、彼女の測定方法は正確性に欠けてしまうのではないか。

「本当に大丈夫? 夕ご飯は私が作るし、服も畳んでおくわよ。他の家事も全部やる。だからあなたは寝ましょう」

 無反応な僕を心配してか彼女はそう言った。そして僕の腕を掴み引っ張る。僕は立ち上がり、彼女にされるがままに寝室へと連行された。

 

 

 

 

 

 

 

END.