*お会計
近所のコンビニへ彼と夜食を買いに出掛けた。
今は八月。夏真っ只中で夜になっても暑さは収まらず、二人してアイスをカゴに突っ込んだ。そして他にも夏季限定のお菓子が置いてあったためそれらもカゴへ入れた後、レジにて会計を済ますため、私はバッグから財布を出す。
今日は私がお金を払う番だった。
「――八百六十四円になります」
店員に合計金額を告げられ、財布の中の小銭を探す。五百円玉一枚に百円玉三枚、さらに五十円玉もあり、私は店員の前にそれらの小銭を出す。しかし十円玉と一円玉は見当たらない。
仕方がない。小銭を戻し千円札を出そうとしたその時だ。
十円玉一枚と一円玉四枚が私の後ろからスッと出された。
「八百六十四円、ちょうどお預かり致します」
「ありがとう」
私は自身の財布から小銭を出してくれた彼に礼を告げる。
「いいよ。ちょうど小銭が邪魔だったし」
彼は店員がまとめた、買った物が入った袋を持ちそう言った。
「あ、ありがとう」
袋まで持たせてしまった。そのことに気づいた私は重ねて礼を告げると先に歩き出した彼の隣りへと駆け出した。
END.